多分、日本でいう "傾聴" というものが、実はものすごく狭い意味合いを持っているのではないだろうか、という話を、昨日書き落としてみた。とくに「ソーシャル メディア」なるものを evangelize されていらっしゃる方の大半が言う "傾聴" は「自分たちに対して直接宛てられているメッセージを聴き、それに受け答えて会話をする」という意味にしかなっていないような気がするわけで。
おそらく、これは "傾聴" というもの自体を、「ソーシャル メディア マーケティング」という、非常に限定された領域の中だけで考えてしまっているからであろうと思うし、しかも、前々回のエントリーで書いているように、そもそも「ソーシャル メディア マーケティング」というものが「マーケティング活動のごく一部の施策で用いられているツールを使って発信するためのオペレーション活動」だけに focus されてしまっているという現状も一因なのではないかとも思っている。
実際、今現在日本で語られている「ソーシャル メディア マーケティング」は、そのほとんどが「発信のみ」を重視しており、まるで「発信すること」を中心に世の中が回っているのではないかと錯覚するほどにも思える。
ただもちろん、コミュニケーションは「発信すること」だけでは成立しない。特に広報という領域では「発信すること」だけではなく「発信されている」情報と、どう向き合うかというところも考えなくてはならない。そのためには「自分たちに対して直接宛てられているメッセージを聴く」だけでは明らかに不十分だし、"傾聴" というもの自体を、もっと広く考えていく必要があるわけで。
いや、これは別に広報に限った話ではなく、マーケティングという点でも同様だろう。
"企業のソーシャルメディアの活用って、発信してお客さまが動くのも大事だけど、お客さまの声を受けて、「社内が」動いて初めて“マーケティング”になるんじゃないかしらん。" Tweeted by @hiasa
少なくとも、現状は「発信すること」で、いかに相手を動かすか、しか考えられてはいないし、(自分たち以外に宛てられたものも含めて) 「発信されている」ものを受けて、いかに自分たちが動くか、という視点が欠落してしまっているケースが非常に多いのではないかと思っている (もっとも、これまでも折に触れて書いている通り、必ずしも、こういったケースばかりではないのだけれども)。
こう考えていると、企業が「ソーシャル メディア」なるものに関わる、ということを、そもそも「発信すること」と考えてしまっている時点で、既にボタンを掛け違えているようにも思えるし、無駄にハードルを高くしてしまっているような気もしてくるわけで。 実際、企業における「ソーシャル メディア マーケティング」で、課題として考えられている点を思い返すと、それが「発信する際のトピックやトーン」であったり「いかに返事するか」であったり、そもそも、そういった活動をするための「リソースやコスト」であったり、さらには「発信した情報のもたらすインパクトと、そのビジネス上の効果」だったりするのだけれども、これらは「発信すること」が前提になってしまっているがゆえに発生する課題なのではないかと思う。
ただ、これが「発信すること」が前提にない場合、たとえば「発信されている」情報と、どう向き合うか、という点で考えると、別にあえて「ソーシャル メディア」上に、チャネルを設けて情報を発信するための窓口を作らなくてもよいのではないか、という選択肢も出てくるわけで。
むしろ「発信されている」情報を、自分たちでいかに proactive にキャッチすることができるか。そしてキャッチした後、いかに自分たちが動くか、ということが問われてくるわけだし、さらに言えば、実際に自分たちが動く際、それが必ずしもオンライン上の活動であるとは限らなかったりもする。
いや、むしろオフラインの領域における活動まで含めて、自分たちで動けるようになることが求められているのではないだろうか。「ソーシャル メディア」なるものが普及してきて、ポジティブなもの、そしてネガティブなものも含め、オフラインの領域における動きが、すぐにオンライン上に波及するような状況になっている今だからこそ、こういった動きが求められているのではないかと思う。
あえてちょっとだけ乱暴な言い方をすると、"傾聴" だとか "会話" だとか言って、結局は「ソーシャル メディア」上で、ごくごく一部の少数の顧客 (ひょっとしたら、顧客ですらないかもしれないのだけれども) と世間話しか出来ていないのであれば、もう少し自分たちが「ソーシャル メディア」上で、どんなことを言われているかをきちんと把握し、オンライン/オフライン問わず、少しでも行動に移したほうがいい、ということになるわけで。
というわけで、次回からは、ちょっと "傾聴" から話を変えて、違うテーマで、自分自身が長々と考えてきたことを書き連ねてみようと思う。

「傾聴」ではなく「広聴」といえばしっくりくる人は多いかもしれませんね。伝統的に言われている「広報は双方向コミュニケーション」と同じ文脈です。自治体には「広聴広報課」が多いようですよ。:半年考えてみたこと - 4 「"発信" するだけで動けていない」
Posted by: Capote | 2011/08/15 at 20:53