ソーシャル メディア マーケティングを、とくに “大企業” といわれている組織が実践に持っていくまでには、その “規模” と、ソレに伴う “リスク” を考慮しなくてはならない。そして “Internal Communication” もとい “内部調整” が、“体制構築” と “ポリシー/ガイドラインの策定” に際して非常に大きな課題として直面してくるというコトについて語ってみた。
さて、ここまで記してきたのは、言ってみれば大変な点ばかりだったりする。正直なトコロ、ソーシャル メディア マーケティング施策を推進していくためには、いわゆる “小回りが利く” 状況が非常に求められているわけだ。そういう意味では、自身も以前言及したように、ある意味規模が小さい企業や組織である方が、ソーシャル メディア マーケティングの世界に踏み出しやすいのかもしれない。実際、ソーシャル メディア マーケティング施策において重要なのは、まさに、この “小回り” だと思うのだけれども、そういう観点で見たら、ソーシャル メディア マーケティングというのは、いわゆる “大企業” といわれている組織にとって、その効果が疑問だと思われてしまうかもしれない。
事実、(実際のところは、あまり企業規模に関係は無いのだけれども) 企業や組織としてソーシャル メディア マーケティングを実践しようとする中で、必ず出てくるのが “じゃぁ、こんなに大変だったら、別に無理してソーシャル メディア マーケティングなんてやらなきゃいいじゃん…” という意見である。
というわけで、今回は規模の大きな企業や組織が、ソーシャル メディア マーケティングの世界に入り込んでいくための意味について考えてみたいと思う。
実際、前回のエントリーでも言及したのだけれども、“割に合わないようならば、やらなければいい” というのは、ある意味非常に正しいと思う。確かに、ここ最近やたらと “ソーシャル メディア マーケティングの成功事例” なるモノが語られているし、中身を見れば、確かに “成功” と言っても、ある程度違和感を感じないようなモノになっているケースが、国内外を問わず、少しずつ出てきている。
ただ、もう少し考えてみよう。これまで “成功” と言われている事例は、はたしてスケーラビリティが伴う “大企業” の施策に対して、どこまで有効なカタチで適用させるコトができるのだろうか?
おそらくは、少なくとも、現時点では、適用させるコトは、かなり難しいのではないかと思っている。いや、決して “できない” と言っているわけではない。これまで出てきている事例をなぞらえて、全く同じようなコトをするだけであればできるはずだ。
ただ、パッと見て “割に合わない” ケースが多くなってくるのではないかと思っている。言い換えれば、人的なリソース、そして投下する金銭に対して、“直接的に得られるリターン” が、いわゆる “大企業” のビジネスを考えた場合、限定的になってしまう可能性が高いのだ。そして、ものすごく身も蓋もない言い方をしてしまうと、ココまで考えたときに、もし割に合わないようであれば、あえてやらなくても良いという結論に至ってしまう。 そういった結論を導き出すのは、もちろんアリだ。
少なくとも、(一部の) 中のヒトたちは気付いているだろう。実際に語られている “成功事例” は、よくよく数字を追っていったときに、意外と割に合わないモノであるというコトを。そして、その成功事例は企業規模や市場規模がある程度限定化された場合という条件で、かつ “見方によっては成功ともいえるかもしれない” というような内容であるというコトを。
一方で “いや、直接的なリターンを求めるというコトではなく、顧客とのエンゲージメントが…” という意見も出てくるだろう。確かに、コレは非常に正しいし、ある意味 (規模を問わず) 企業や組織がソーシャル メディア マーケティングを推進していくにあたって非常に重要視していかなくてはならないポイントだろう。
しかし、ソレを可視化させるコトは困難をきわめるし、しかも、どれだけ直接的な利益をもたらすのかは、なかなか見出しづらい。
実際のところ、企業や組織の規模が大きくなればなるほど、ソーシャル メディア マーケティングに対して、直接的なリターンだけを求めてしまっては、まるでメリットも感じられないというところではないかと思う。単に自分の発信する情報を拡げる “メディア” として考えてしまうと、とくにそうだ。
ただ、ソーシャル メディアを “社会をのぞく窓” として考えると意義は非常に大きい。もちろん、コレは自分たちで情報を発信したり、コミュニケーションを積極的に行うというコトでなくてもいい (もちろん、その方が効果は大きいと思うけれども) 。ただ単に、ソーシャル メディア上で、自社の顧客をはじめとした、巷の声を聴き、知るというだけでもいいのだ。
もちろん、まだまだソーシャル メディアに参加しているユーザーの人口を考えると、 “巷” といっても、規模は小さいかもしれない。ただ、(いつでも) 声を聴き、知るコトができる機会があるだけでも、そのメリットは大きいと思うのだ。実際に、競争ドライバーが “Market Share” から、“Customer Share”、そして “Mind Share” へと移行していきつつある状況を考えると、そして、Life Time Value を向上させていくというコトを考えると、顧客の声を聴き、しり、その上でエンゲージメントを深めていくというコトは非常に重要になる。
そして何よりも、顧客の意見、もとい本音は、正直なトコロ、企業や組織の規模が大きくなってくればなるほど、この本音を得る機会がどんどん少なくなってくるわけで。
この重要性こそが、規模の大きな企業や組織において、ソーシャル メディア マーケティングを始めていく意味につながってくるかもしれないと、個人的には思っている。コレを、どれだけしっかりと内部で、語るコトができるのか、そして、どれだけコンセンサスを得て進めていくコトができるのか…。少なくとも、コレがキーになってくるのではないかとも思っているのだ。
日本にソーシャル メディアなんて無いって言いきっている人も一部ではいるけれども、それは明らかに見当違いでしかない。ソレは、ソーシャル メディア をあくまでも “メディア” として、とくにスケーラビリティというごくごく一部を捉えて言っているだけだし、ソレは決して本質的なモノではない。規模の大小にかかわらず、ソーシャル メディアは立派に “ソーシャル” だ。
実際のトコロ、これまでは、ソーシャル メディア マーケティングを、実際に自分たちの考えるマーケティング施策の中に位置づけるにあたって、“マス マーケティングを代替する手段” として考えてしまっていたコトが問題だったりする。これまで、その考え方をどんどん助長していたのが、前述の “成功” と呼ばれているであろう事例なのだけれども、こういった事例で語られているモノって、そもそもマス マーケティングしなくてもいいモノであるコトがほとんどだ (大体、大規模に広まっているソーシャル メディア マーケティング事例には、大抵マス メディアが複合して使われているし) 。
結局のトコロ、今までと変わらないし、少なくとも、ある程度の規模のビジネスを考えるのであれば、マスな側面もしっかりと押さえなくてはならない。ただ、それだけでは限界が見えつつあるのも事実だ。どれだけ多くの顧客の声を聴くコトができるか。そして、その声をもとに、どれだけ自分たちのビジネスを良い方向に進めていくコトができるか。ソーシャル メディア マーケティングには、少なくとも、そのきっかけとなるモノはたくさん揃っていると思う。
というわけで、長々となってしまったけれども、次回はちょっと違った視点から、“大企業” 的なソーシャル メディア マーケティングに関して思うコトを書き連ねてみようと思う。
* ゆるゆるしていたら、普通に 1 週間空いてしまった…。
